結婚式、イベントを目標にした歯並びの治療について ③

結婚式、イベントを目標にした歯並びの治療について ③

思いの外、長くなりましたが最後です。

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医療とはいえ審美的要素の強い矯正治療は、はっきりしたゴールが設定しづらいため、患者さんとの意思の疎通が非常に大切になってきます。

 

 

 

結婚式、イベントを目標にした歯並びの治療について ③

結婚式等に限らず、患者さん側からすると極力安く、また早く出来るならそれに越したことはありません。

 

当然イベントに向けてその時少しでも見た目が良くなるならという気持ち(咬み合せ、歯の健康等は無視ではないけど重要ではない)であれば、部分矯正で出来るところまでというのが一番だと思います。

 

問題は、見た目のために健康を損なうのか、健康のために見た目を諦めるかの、その「出来るところ」のバランスです。

 

 

上の図にあるとおり、基本的には全体矯正に比べ、部分矯正はゴール設定が低くなります。

ただ、この縦軸の点数は、「咬み合せ」「見た目」「後戻りのしにくさ」等を含めた総合点なので「見た目」に特化しつつ、かつ他の項目がマイナスにならないのであれば、ゴール設定としては悪くないかなと考えます。

 

良い例

処置前 見た目0点 咬み合せ40点 清掃性 30点 ・・・・

総合 30%(全てが理想を100%として)

 

処置後 見た目80点 咬み合せ45点 清掃性40点 ・・・・

総合 40%の完成度

 

悪い例

 

処置前 見た目0点 咬み合せ40点 清掃性 30点 ・・・・

総合 30%(全てが理想を100%として)

 

処置後 見た目90点 咬み合せ15点 清掃性0点 ・・・・

総合 25%の完成度

 

良い例だと治療の結果は見た目の改善のみですが、他の項目で大きくマイナスがありません。

 

逆に悪い例だと見た目の改善のために、咬み合せ、虫歯のリスクが悪化しています。

 

 

ただやはり難しいことは、患者さんには虫歯のリスクは分からないし(痛くもないし、見た目にも削ったなというほど削らない)、僕らには患者さんの求める審美的ゴールを想像することしか出来ない、というところです。

 

 

そのため、矯正全体に言えることですが、特に時間・やれる範囲に制限がある部分矯正では、相互の理解と歩み寄りが必要となり、ゴール設定があやふやなまま治療を始めないこと。

場合によっては「治療をしない」という選択肢も可能性として考えつつ、治療計画を立てる必要があります。